太陽に手を伸ばす少女
□□□


「…居るんだろ、そこに」


エレベーターへ乗り込んだ羽宮を見届け、そのまま人の気配がずっとしていた方へと話しかけた。

マンションの陰から出てきたのは全身真っ黒な服のこの間の男。


「よく気付いたな」


フッと鼻で笑い、ゆっくりと近付いてくる。
まるで闇を纏っているように暗い。

…そんな事よりも。


「なぁ、お前知ってんだろ。羽宮は一体何者なんだ」


そう聞くと男の目が鋭くなった。


「なんでお前にそんな事言わなきゃいけねぇんだよ」

「羽宮の背中にあった“アレ”、知ってんだろ」

「知ってるよ。なんなら俺も同じのが入ってる」

「…お前ら、もしかして、」


そもそもこいつは初めから怪しかった上に、そこら辺に居るような人間が発さないような雰囲気を漂わせていた。

そんな人間と知り合いだったという羽宮は…。


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