太陽に手を伸ばす少女


次の目的地まで歩いているとバッグに入れていたスマホが通知音を鳴らした。


「あ、蒼井さん」


案外他愛もない会話を続けてくれる蒼井さんとのメールを久住さんはあまりよく思っていないらしい。

…ほら、今も。


「…なんだよ」

「いいえ、別に何も」


本当は何を話しているのか気になっているくせに、「興味ねぇ」と気にしていない振りをしている。
本人は多分それを出しているつもりはないが、全面に出ているのがまた面白い。


「ところでさっきから何処に向かってるんですか?」

「服買いに行くんだよ」

「あぁ、久住さんの」

「はぁ?お前のだよ!夏服!買ってやるから好きなの選べよな」

「えぇ?いや、別に私は着れればなんでもいいので…」

「お前本当に女子高生?」


言い合いながら色んなブランドが詰め込まれた建物へ連れられ、無理矢理選ばされる服。

言われるがままに試着して脱いで試着してを繰り返し、結局ほとんど久住さんが選んでくれた。


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