あのね、わたし、まっていたの ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
「夏島さんにご相談したいことがありまして」
夏島が頷くと同時に奥さんが立ち上がり、「コーヒーを淹れてくるわね」と台所に向かった。
「ご相談というのは転職のことなのです」
「転職?」
大きな声を出したのは、妹の方だった。
まだそのことを彼女に話していなかった。
「転職って、どこへ?」
今にも目の玉が飛び出しそうな顔をしていた。
「中学校なの」
「中学校?」
今度は面食らったようにポカンとした。
「新しくできる中学校で、まだ校舎もできていないんだけど」
「は~?」
まさしくハトが豆鉄砲を食らったような顔になった。
それは当然かもしれなかった。
有名大学の教授職からまだ校舎もできていないような新設中学に転職するなんて、あり得ない話なのだ。
そんな中、奥さんが戻ってきて、それぞれの前にカップを置いた。
「いただきます」と口に運んでモカの香りを楽しんでいると、「どんな中学なの?」と奥さんの穏やかな声が耳に届いた。
「スポーツ専門の中学校なんです」
「えっ?」
今度は夏島が大きな声を出した。
椅子からずり落ちそうになるほど驚いているようだった。
「今、なんて言った?」
「スポーツ専門の中学校と言いました」
「それって、もしかして、夢開市の……」
「えっ?」
今度は秋村が驚いた。
目が点になったのではないかと思うほど驚いた。
「なんで、そのことを……」
秋村の問いにしばらく答えられなかった夏島だったが、観念したかのように当時の経緯を語り始めた。
夏島が頷くと同時に奥さんが立ち上がり、「コーヒーを淹れてくるわね」と台所に向かった。
「ご相談というのは転職のことなのです」
「転職?」
大きな声を出したのは、妹の方だった。
まだそのことを彼女に話していなかった。
「転職って、どこへ?」
今にも目の玉が飛び出しそうな顔をしていた。
「中学校なの」
「中学校?」
今度は面食らったようにポカンとした。
「新しくできる中学校で、まだ校舎もできていないんだけど」
「は~?」
まさしくハトが豆鉄砲を食らったような顔になった。
それは当然かもしれなかった。
有名大学の教授職からまだ校舎もできていないような新設中学に転職するなんて、あり得ない話なのだ。
そんな中、奥さんが戻ってきて、それぞれの前にカップを置いた。
「いただきます」と口に運んでモカの香りを楽しんでいると、「どんな中学なの?」と奥さんの穏やかな声が耳に届いた。
「スポーツ専門の中学校なんです」
「えっ?」
今度は夏島が大きな声を出した。
椅子からずり落ちそうになるほど驚いているようだった。
「今、なんて言った?」
「スポーツ専門の中学校と言いました」
「それって、もしかして、夢開市の……」
「えっ?」
今度は秋村が驚いた。
目が点になったのではないかと思うほど驚いた。
「なんで、そのことを……」
秋村の問いにしばらく答えられなかった夏島だったが、観念したかのように当時の経緯を語り始めた。