あのね、わたし、まっていたの ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
「申請が正式に認定されたよ」
事務局長から告げられた瞬間、わたしは、へなへなと、へたり込んでしまった。
一日千秋の思いで待ち望んでいた内閣総理大臣の認定が下りたのだ。
安堵の余り、全身から力が抜けてしまっていた。
大学院時代に強く想い描き、修士論文に書いた事が実現に向けて大きく一歩前進したのだ。
これほど嬉しいことはなかった。
しかし、嬉しさが大き過ぎるあまり、喜びの感情が表に出ていかなかった。
それに、立ち上がろうとしても力が入らなかったのでそのまましゃがみこんでいると、不意に十数年前のことが蘇ってきた。
それは小学5年生の時に図書館で出会って感動に震えた言葉だった。
『教育とスポーツ振興を未来の投資と位置付け、世界に冠たる幸福大国を実現する』
『公務員の仕事』という本に書かれてあった教育文化省の使命をいつだって忘れたことはなかった。
あの時から胸の中で大事に育んできた夢が今まさに花開こうとしている。
なんて幸せなことなんだろう。
わたしは泣きそうになっていた。
そんなわたしをニコニコと包み込むように見ていた事務局長が手を差し伸べて引き起こしてくれた。
しかし、わたしが立ち上がった時、彼の顔に笑みはなかった。
厳しい表情に変わっていた。
唇が動くと、諭すような低い声が発せられた。
「これからが本番だ。誰も経験したことがない難題がいくつも降りかかってくるだろう。君が向かうのは未踏の地だ。覚悟を決めて取り組みなさい」
1週間後、出向辞令が下りた。
わたしは覚悟を決めて出向先へ向かった。
事務局長から告げられた瞬間、わたしは、へなへなと、へたり込んでしまった。
一日千秋の思いで待ち望んでいた内閣総理大臣の認定が下りたのだ。
安堵の余り、全身から力が抜けてしまっていた。
大学院時代に強く想い描き、修士論文に書いた事が実現に向けて大きく一歩前進したのだ。
これほど嬉しいことはなかった。
しかし、嬉しさが大き過ぎるあまり、喜びの感情が表に出ていかなかった。
それに、立ち上がろうとしても力が入らなかったのでそのまましゃがみこんでいると、不意に十数年前のことが蘇ってきた。
それは小学5年生の時に図書館で出会って感動に震えた言葉だった。
『教育とスポーツ振興を未来の投資と位置付け、世界に冠たる幸福大国を実現する』
『公務員の仕事』という本に書かれてあった教育文化省の使命をいつだって忘れたことはなかった。
あの時から胸の中で大事に育んできた夢が今まさに花開こうとしている。
なんて幸せなことなんだろう。
わたしは泣きそうになっていた。
そんなわたしをニコニコと包み込むように見ていた事務局長が手を差し伸べて引き起こしてくれた。
しかし、わたしが立ち上がった時、彼の顔に笑みはなかった。
厳しい表情に変わっていた。
唇が動くと、諭すような低い声が発せられた。
「これからが本番だ。誰も経験したことがない難題がいくつも降りかかってくるだろう。君が向かうのは未踏の地だ。覚悟を決めて取り組みなさい」
1週間後、出向辞令が下りた。
わたしは覚悟を決めて出向先へ向かった。