あのね、わたし、まっていたの  ~新編集版~
 内偵を進める中、警察は容疑者に事情徴収をすることに決めた。
 夕闇が迫る中、パソコンショップに踏み込み、長男に任意同行を求めた。
 しかし断固として拒否したので、警察はすぐさま家宅捜索に切り替えた。
 証拠隠滅の恐れがあるという理由からだった。
 事前に準備していた礼状を見せて彼の部屋に押し入り、隅々まで調べ尽くした。
 すると、押入れの一番上の奥から布袋が見つかった。
 その中には発送準備が整った封筒が何十通も入れられていた。
 それだけではなかった。
 報道各社に発信するための準備も終わっていた。
 あとは送信ボタンを押すだけになっていた。
 警察はその場で彼を逮捕し、署へ連行した。
 すぐに指紋を取り、桜田に送りつけた手紙の指紋と照合した。
 完全に一致した。
 
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