あのね、わたし、まっていたの ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
「お腹はどう?」
「大丈夫。もう治った」
「そう、良かった」
口元を緩めたお母さんがビニール袋をわたしの方に突き出した。
受け取って中を見るとフルーツゼリーが入っていた。
ミックス、オレンジ、マンゴーの3種類だった。
どれも大好きなものだった。
「ありがとう」と言うと、お母さんがまた口元を緩めた。
その夜、嫌な夢を見た。
寒田と黄茂井に蹴りと肘打ちをされている夢だった。
うなされて目が覚めると、心臓がものすごい勢いで動いていた。
走った時よりも速く動いていた。
怖くなって体を丸めた。
もう眠ろうとは思わなかった。
これ以上怖い夢を見たくなかった。
現実だけでも死にそうなのに夢の中でも虐められたら耐えられるわけがなかった。
もう学校には行けないと思った。
不登校児になるしかないと思った。
友達ができないまま一生が終わるのだと思った。
でもそうなるとお母さんが悲しむだろうなと思った。
泣くかもしれないなと思った。
それは嫌だった。
嫌だったが、学校には行けそうもなかった。
でも……、
そんなことがぐるぐる回っている間に朝になった。
「大丈夫。もう治った」
「そう、良かった」
口元を緩めたお母さんがビニール袋をわたしの方に突き出した。
受け取って中を見るとフルーツゼリーが入っていた。
ミックス、オレンジ、マンゴーの3種類だった。
どれも大好きなものだった。
「ありがとう」と言うと、お母さんがまた口元を緩めた。
その夜、嫌な夢を見た。
寒田と黄茂井に蹴りと肘打ちをされている夢だった。
うなされて目が覚めると、心臓がものすごい勢いで動いていた。
走った時よりも速く動いていた。
怖くなって体を丸めた。
もう眠ろうとは思わなかった。
これ以上怖い夢を見たくなかった。
現実だけでも死にそうなのに夢の中でも虐められたら耐えられるわけがなかった。
もう学校には行けないと思った。
不登校児になるしかないと思った。
友達ができないまま一生が終わるのだと思った。
でもそうなるとお母さんが悲しむだろうなと思った。
泣くかもしれないなと思った。
それは嫌だった。
嫌だったが、学校には行けそうもなかった。
でも……、
そんなことがぐるぐる回っている間に朝になった。