あのね、わたし、まっていたの  ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
 いつもの時間にお母さんが部屋に入ってきた。
 
「ど~お?」

 その心配そうな顔を見て、いけない、と思った。
 その途端、「大丈夫」という声が出た。
 すると「大丈夫だからな」という建十字の声が聞こえたような気がした。
「心配ないからな」という横河原の声も「明日来いよ」という奈々芽の声も蘇ってきた。
 わたしはベッドから抜け出して洗面所に向かった。

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