あのね、わたし、まっていたの  ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
「見~つけた!」

 わたしは喜び勇んで彼らの元に走っていった。

「四角、見つけたよ」

「誰?」

 五人が食い入るようにわたしを見た。

「柔道部にいた」

 エヘンと自慢げに、わたしは鼻を高くした。

「しかくだ・りゅうと君」

「しかくだ?」

「しかくだって、どんな字書くの?」

 五人が興味津々の顔つきでわたしを見たので、ノートに書いて彼らに見せた。

「鹿久田隆人」

「へ~」

 彼らの驚きようは半端なかった。

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