あのね、わたし、まっていたの  ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
 一方、わたしは都立教育大学に入学し、大学院に進学した。
 修士課程を卒業したあとは、ある目的をもって教育文化省に入省した。
 
 そのことを縦横斜め○△□隊にメールしたところ、奈々芽と丸岡と鹿久田が入省祝いを開いてくれた。
 大リーグへ行った建十字とヨーロッパのクラブチームに移籍が決まった横河原、そして、アメリカ留学中の三角はいなかったが、三人との久々の再会に心が弾んだ。
 
 ひとしきり食べて飲んで盛り上がったあと、わたしが具体的な所属先を告げると、奈々芽が首を傾げた。
 
「全国教育審議会?」

「そう、そこの事務局メンバーになったの」

「何やるとこ?」

「教育文化省の諮問機関で、教育全般に関して議論して、答申・報告をするところよ」

「ふ~ん」

 三人は不思議そうな顔をした。

「自分で希望したのよ」

「へ~、そうなんだ。で、貴真心は、そこで何がやりたいの?」

「今は内緒」

 わたしは唇に人差し指を当てた。


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