あのね、わたし、まっていたの ~誰か声をかけてくれないかなって~ 【新編集版】
「今日は一緒にお風呂に入ろう」
いつものように一人ぼっちで帰った夕方、突然お母さんから言われて、キョトンとしてしまった。
「どうしたの?」
「別に。最近一緒に入っていなかったからね」
わたしが小学3年生になった時、パートの仕事を始めたお母さんと一緒にお風呂に入ることは無くなった。
仕事から帰ってきたお母さんはすぐに夕食の準備をしなければならなかったし、その他にも家事に追われていたからだ。
二人で湯船に入ると、勢いよくお湯が溢れた。
お母さんを目の前にすると、なんか、照れ臭かった。
久しぶりに見る裸のお母さんをまともに見ることができなかった。
自分の裸を見られるのも恥ずかしかった。
湯船から出て、わたしの背中を洗いながら、お母さんがちょっと躊躇ったような感じで訊いてきた。
「学校は楽しい?」
どう答えていいか、わからなかった。
「友達はできた?」
答えなかった。
「お母さんに相談したいことはある?」
すぐに首を振った。
でも言いたいことがあった。
わたしはうつむいて、「わたしの名前、もっと普通の名前だったらよかったのに……」と小さな声で言った。
お母さんは一瞬何か言いかけたような感じだったが、黙ってわたしの背中を流し始めた。
流し終わると、お母さんの手がわたしの肩に触れた。
「お母さんは貴真心の味方だからね」
後ろから優しく抱きしめられた。
「どんな時でも、どんなことがあっても、お母さんは貴真心の味方だからね」
今度はギュッと抱きしめられた。
いつものように一人ぼっちで帰った夕方、突然お母さんから言われて、キョトンとしてしまった。
「どうしたの?」
「別に。最近一緒に入っていなかったからね」
わたしが小学3年生になった時、パートの仕事を始めたお母さんと一緒にお風呂に入ることは無くなった。
仕事から帰ってきたお母さんはすぐに夕食の準備をしなければならなかったし、その他にも家事に追われていたからだ。
二人で湯船に入ると、勢いよくお湯が溢れた。
お母さんを目の前にすると、なんか、照れ臭かった。
久しぶりに見る裸のお母さんをまともに見ることができなかった。
自分の裸を見られるのも恥ずかしかった。
湯船から出て、わたしの背中を洗いながら、お母さんがちょっと躊躇ったような感じで訊いてきた。
「学校は楽しい?」
どう答えていいか、わからなかった。
「友達はできた?」
答えなかった。
「お母さんに相談したいことはある?」
すぐに首を振った。
でも言いたいことがあった。
わたしはうつむいて、「わたしの名前、もっと普通の名前だったらよかったのに……」と小さな声で言った。
お母さんは一瞬何か言いかけたような感じだったが、黙ってわたしの背中を流し始めた。
流し終わると、お母さんの手がわたしの肩に触れた。
「お母さんは貴真心の味方だからね」
後ろから優しく抱きしめられた。
「どんな時でも、どんなことがあっても、お母さんは貴真心の味方だからね」
今度はギュッと抱きしめられた。