あのね、わたし、まっていたの  ~慈愛の物語~ 【新編集版】
 桜田はほとんど眠れなくなった。
 酒の力を借りて入眠はできたが、1時間も経たないうちに目が覚めるのだ。
 それからは、何故こんなことに? という問いだけが頭の中をぐるぐると巡り、眠れないまま何度も何度も寝返りをうち続けた。
 それは開票日が近づくにつれて酷くなり、心身共にどんどん消耗していった。
 ぼう~っとしていることが多くなった。
 なんの脱出方法も見いだせないまま、時間だけが過ぎていった。

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