あのね、わたし、まっていたの ~慈愛の物語~ 【新編集版】
「さっきのことだけど」
友達の話になった。
パートの仕事帰りに公園を通りかかるたびに気になっていたのだという。
ぽつんと一人でベンチに座って本を読んでいるのを見て、仲間外れになっているのではないかと心配していたという。
しかし、親が出て行くと虐めが酷くなると聞いたことがあるからただ見ているだけにしていたらしい。
でも、今日はいつもと違って怯えるような表情をしたので気になったのだという。
体の大きな女の子二人に虐められているのではないかと不安になったと言った。
わたしは「なんでもない」と言ってテレビの音量を上げた。
すると、お母さんは「そう」と言ったきり何も言わなくなった。
テレビが急につまらなくなった。
洗面所へ行って歯磨きをして自分の部屋に入った。
椅子に座ると、今日のことが思い出された。
寒田と黄茂井が近づいてきて、交互に耳元で「き・ま・こ、き・ま・こ、鬼の子、悪魔の子!」と何度も言ったのだ。
周りの子たちは見て見ない振りをしていた。
わたしが立ち上がろうとすると、両方の肩を押さえつけられた。
そして、また耳元で「き・ま・こ、き・ま・こ、鬼の子、悪魔の子!」と言われた。
暴力は振るわれなかったが、心臓がキュッとなった。
そのことが蘇ってくると、寒田と黄茂井がいないのに心臓がキュッとなった。
不安になって自分の部屋を出た。
友達の話になった。
パートの仕事帰りに公園を通りかかるたびに気になっていたのだという。
ぽつんと一人でベンチに座って本を読んでいるのを見て、仲間外れになっているのではないかと心配していたという。
しかし、親が出て行くと虐めが酷くなると聞いたことがあるからただ見ているだけにしていたらしい。
でも、今日はいつもと違って怯えるような表情をしたので気になったのだという。
体の大きな女の子二人に虐められているのではないかと不安になったと言った。
わたしは「なんでもない」と言ってテレビの音量を上げた。
すると、お母さんは「そう」と言ったきり何も言わなくなった。
テレビが急につまらなくなった。
洗面所へ行って歯磨きをして自分の部屋に入った。
椅子に座ると、今日のことが思い出された。
寒田と黄茂井が近づいてきて、交互に耳元で「き・ま・こ、き・ま・こ、鬼の子、悪魔の子!」と何度も言ったのだ。
周りの子たちは見て見ない振りをしていた。
わたしが立ち上がろうとすると、両方の肩を押さえつけられた。
そして、また耳元で「き・ま・こ、き・ま・こ、鬼の子、悪魔の子!」と言われた。
暴力は振るわれなかったが、心臓がキュッとなった。
そのことが蘇ってくると、寒田と黄茂井がいないのに心臓がキュッとなった。
不安になって自分の部屋を出た。