あのね、わたし、まっていたの  ~新編集版~
 桜田との面談で彼のやる気を感じたわたしは希望の明かりが灯ったような気がしてスイッチが思い切り入り、こちらでできる準備を精力的に進めた。
 ただ、予算面がクリアできない限り前進させることはできないので、一日千秋の思いで桜田からの連絡を待った。
 しかし、待てど暮らせど電話は鳴らなかった。

 そんな状態が続いたまま年末がやってきた。
 休みに入る前に進捗を聞こうかと思ったが、急かしたところでどうなるものでもないのでぐっと我慢した。
 そして、気持ちを切り替えた。
 
 スケジュール帳を開くと、書き込んだ文字が浮き上がってきたように思えた。
 待ちに待った日が近づいているのだ。
 心が弾むのを抑えることなどできるはずはなかった。
 
 あと2日……、
 
 零れた呟きが手帳に吸い込まれて秒針を動かした。
 
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