御話紡-短編集-
そして、皓の方をちらりと見て、来い来いと手招きする。
どうやら今日のデート場所は桜の木の上に決定したようだった。
いつもなら、桜の木の下で根本に腰掛けての雑談になるのだが……
たまにはいいか。
微笑みを浮かべた皓も近くの枝に手をかけ軽々と上へ登り、厘の隣までたどり着く。
「いらっしゃいませ」
にっこりと厘が笑う。
その笑顔は周りにある桜の美しい桃色の花弁にも劣ることはない。
いや、そもそも比べることが間違いだと、皓は軽く頭を振った。
「どうしたの?」
「なんでもないよ。久しぶりに会えたから緊張したのかも」
小さく首を傾げる厘に、笑ってそう告げる。
「そんなに会って……なかったね」
お互いが離れていた時間を言葉を紡ぎながら厘は確かめる。
最後に会ったのは何時のことだったか……
なかなか会える時間が取れず、無為に時だけが過ぎていった。
互いに出会えるまでの時間と比べれば、そんなものどうというものでは無いのだが、少しでも一緒にいたいと思う以上、待つというのは永い永いもののように感じてしまうのだ。
どうやら今日のデート場所は桜の木の上に決定したようだった。
いつもなら、桜の木の下で根本に腰掛けての雑談になるのだが……
たまにはいいか。
微笑みを浮かべた皓も近くの枝に手をかけ軽々と上へ登り、厘の隣までたどり着く。
「いらっしゃいませ」
にっこりと厘が笑う。
その笑顔は周りにある桜の美しい桃色の花弁にも劣ることはない。
いや、そもそも比べることが間違いだと、皓は軽く頭を振った。
「どうしたの?」
「なんでもないよ。久しぶりに会えたから緊張したのかも」
小さく首を傾げる厘に、笑ってそう告げる。
「そんなに会って……なかったね」
お互いが離れていた時間を言葉を紡ぎながら厘は確かめる。
最後に会ったのは何時のことだったか……
なかなか会える時間が取れず、無為に時だけが過ぎていった。
互いに出会えるまでの時間と比べれば、そんなものどうというものでは無いのだが、少しでも一緒にいたいと思う以上、待つというのは永い永いもののように感じてしまうのだ。