再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「吉野チーフ、見積もりの承認をお願いします」

部長室から戻ってくると、ちょうど石田くんに声をかけられた。

「石田くんは、これから外出？」
「ええ、何社か回ってきます」

一緒に飲みに出た私が酔っ払ってしまったあの日から、石田くんはあまり馴れ馴れしい態度を取らなくなった。
実際のところ石田くんが私にわざと強いお酒を飲ませたのかどうかなんてわからないけれど、もしかしたら亮平が何か注意してくれたのかもしれない。
真実を聞き出す勇気のない私は、あえてそのことには触れないようにしている。

「気を付けていって来なさいね」
「はい」

今まで以上に積極的に働くようになった石田くん。
自分が主担当になったことで意識が変わったのか落ち着きも出てきて、以前のような少し軽い印象もなくなり営業マンらしくなった。
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