再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
その後の記憶が、正直私の中ではっきりしない。
ただ、石田くんに身動きを封じられ続けていた。
おそらく扉の向こうから亮平の声は聞こえ続けていただろし、周囲の物音もあったはずなのに、私の耳には何も聞こえてこなくなった。
膠着した時間が数十分なのか、数分なのか、それさえもわからない。
ただ私の体に回されていた石田くんの腕と体が小刻みに震えていた。

ドン。
突然大きな音とともに扉が破られ数人の人が流れ込んでくる。
その先頭に亮平がいて、まっすぐに石田くんへ向かうとギュッと握り締めた拳を振り上げた。

「やめて」

石田くんが殴られると感じた私は石田くんをかばい、亮平に背を向ける。

「美優、お前」

苦しそうな亮平の声。

「やめろ、やめてくれっ」

石田くんの叫び声とともに、私は体を突き飛ばされ反動で近くの壁にぶつかって倒れ込んだ。

「お前、美優に何をするんだ」

鋭い亮平の声の後石田くんに拳が振り下ろされるのが見えた気がしたが、私はそのまま意識が遠のいていった。

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