再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「美優さん、食事に行きましょう」

仕事に復帰して1週間ほどが経ち、今日も千穂ちゃんがランチに誘ってくれる。
しかし、正直言って食欲がない。

「ごめん仕事を片付けてしまうから、先に行ってくれる?」
「そんなこと言って、また食べないつもりじゃないですか?」

毎日そばで見ている千穂ちゃんには筒抜けらしいが、本当に食欲がなくて喉を通らないのだ。
自分でも思っている以上に石田くんの事件はショックだったらしく、どうやらまだ精神的に立ち直れていない。

「ほら、部長は今日も手作り弁当ですよ」
「うん、そうね」

珍しく社内で勤務している亮平が持参したお弁当を広げる姿がちらりと見えた。
仕事の忙しさもあり亮平のおうちにお邪魔する機会もなくなってしまった。
最近では2人で話す機会も減り、お弁当のことも聞けずじまいになっている。
見るからに手作りだから、誰かに作ってもらっているのだろうと思うけれど・・・
きっと亮平には、ただの同期ではないちゃんとした恋人がいるのだろう。
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