再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
それから1週間。
再び出勤をする日の朝になっても、亮平は心配そうに私も後ろをついて回る。

「本当に大丈夫なのか、何ならもうしばらく休んだっていいんだぞ」
「もう平気よ、おかげですっかり元気になったから」

これは嘘ではない。
1週間食事の世話は全て富美加先生がしてくれて、忙しいはずの亮平まで夕方には時間を作って帰ってきてくれた。
その間にここでの暮らしにもすっかり慣れ、私は心も体も健康になった。

「とにかく無理をするんじゃないぞ」
「はいはい、わかっています」

休暇が明け出社するにあたって何度も亮平から言われた言葉。
実際仕事に行ってみればそうも言っていられなくなるのはわかっているけれど、できるだけ無理をすることなく、自分の体1番に仕事をしていなくちゃいけないと私も自覚している。

「ああそうだ。母さんが弁当作るって言ってるけど、どうする?」
「私はいいわ、亮平と同じ弁当を持っていったら、何を言われるかわからないし」

本当に富美加先生にはお世話になった。
気遣ってくれる気持ちもありがたいと思うけれど、まだ亮平との関係を公にする勇気は無い。
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