再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「私と吉野美優は付き合っています。同じ部署の上司と部下が個人的に交際をすることが褒められたことだとは思いませんが、いい加減な気持ちではありません」
はっきりと宣言した亮平の言葉にかぶるように、
「えー」
悲鳴のような女子社員の声が上がった。

「みなさんご存じのように、彼女は先日の事件で負傷し精神的にも痛手を受けました。これはすべて部長である私の不徳です」

そんなことないよ。
だって、石田くんは私が・・・
そんなことを考えたら体が震え出した。
すると、肩に回されていた亮平の手に力がこもった。

「今回の件で彼女が長く休職し、皆さんにも負担をかけることになり、私も彼女も申し訳ないと思っていますが、もう少しだけ時間をください。私は来年の春までにこの部署を立て直し、どこよりも働きやすく営業成績のいい部署にするつもりです。そのためには、彼女が必要なのです。どうか温かな目で私たちのことを見守ってください」
お願いしますと、亮平は頭を下げた。

私はこの時、ボロボロと涙を流していた。
泣き顔を見られるのが恥ずかしくてうつむいていると、今度はどこからともなく拍手が沸き起こった。

「おめでとうございます」
それは千穂ちゃんの声。

私は亮平に肩を抱かれながら、心が温かくなるのを感じていた。
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