再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
千穂ちゃんの言葉で少し気持ちが軽くなり、私は昼前に会社を後にした。
元々亮平から12時に地下駐車場へ来るようにと言われていて、5分前に行ってみるとすでに黒塗りの車が待っていた。

「どうぞ」

わざわざドアを開けて出迎えてくれたのは長嶋家の運転手さん。
何度か亮平の送迎で会ったことがあったため顔を覚えてしまった。

「すみません、お世話になります」
「いえ。今日はこの後サロンにご案内させていただきます。そちらでお支度をされましたら、パーティー会場までは亮平さまもご一緒にお送りいたします」
「はい」

大体のスケジュールは亮平にも聞いていたが、改めて確認し共有する。
正直、5年も働いていればパーティーへの出席経験だってない訳ではない。
しかしそれはあくまでもビジネスの現場で、今日参加するような社交界のものとは違う。
私は緊張する心を必死に抑え込んで、亮平が手配してくれた車でサロンへと向かった。
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