再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

未来・・・

12月。
一緒に暮らすようになって初めての年末。
週末を利用して、私たちは郊外のリゾートホテルを訪れた。
日々都会で暮らす私たちにとって、自然の中でリフレッシュできるのは貴重な時間。
それは、もうじき日本を離れる亮平にとっても同じだ。

「素敵なところね」
「ああ、ここは子供の頃から何度も来た場所だ。両親が離婚した後も俺の誕生日はいつもここに来ていたな」
「そうなのね」

自分の実家が貧しかったというつもりは無いが、母一人が働いた我が家に家族でホテルへ行く余裕はなかった。
そんなことを思うたびに、私と亮平の育った環境は違うのだなあと実感する。

「今日は天気がいいから、あとで散歩に行こうか?」
「ええ」

澄んだ空気と清らかな清流、自然を壊すことなくつくられたハイキングコースは無理をすることなく自然に溶け込めて、日常を忘れさせてくれるはずだ。
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