再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
営業なんて仕事をしていながら、こいつはお酒の席が好きではない。
女性としてアルコールに弱い方ではないと思うが、どちらかと言うとみんなとガヤガヤ騒ぐのが苦手なのだろう。
実際、今日の歓迎会だってそうだ。
付き合いで仕方なく顔を出したのはすぐにわかった。
その上課長や専務に捕まり、断ればいいのに無理をしてグラスを開ける姿を危険だなと感じていた。
案の定席に戻ってすぐに駆け出していく後ろ姿とそれを追う石田が見えて、俺は電話がかかったふりをして席を立ち、会場を出た。
課長たちは今日の主役なのにと言いたそうな顔をしていたが、仕事の呼び出しだと言えば文句も言わず送り出してもらえた。
歓迎会の準備をしてくれたみんなには申し訳ないが、俺は彼女のことが心配で仕方なかった。
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