再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「今日はこのまま帰るから」と石田に言って出て行こうとする足がふらついていて、俺はすぐ酔っ払っているのだとわかった。
意地を張って平気なふりをしているようだったが、すでに限界なのは間違いない。
俺は後を追うように店を出てすぐに呼び止め、よろけそうになったところを抱きあげた。
ちょうど店を出るタイミングでうちの車が近くにいることを確認していたから、そのまま載せることもできた。
ただ問題なのは、どこへ連れて行くかだった。
東京に帰ってからも一人暮らしの俺は、自分のマンションへ連れて帰ることもできなくはない。
しかし、少々事情があって連れて帰ることをためらった。
そして悩んだ末、都内のホテルへ泊まることを選んだ。
長嶋家にも縁のある一流ホテルなら多少の融通もきくだろうし、プライバシーも守られるだろうと考えたからだ。
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