再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

一夜が明けて

私は今、亮平が運転する車の助手席に座っている。
同期として長嶋と呼び続けてきた彼を名前で呼ぶことに恥ずかしさを感じないわけではないが、昨日の晩醜態をさらしてしまった私は断ることができなかった。
ただ、本心から嫌だったわけではない。
私も、彼から美優と呼んでもらえることを嬉しいと感じている。

「そう言えば、この車はどうしたの?」

昨日の晩は運転手付きの車に乗っていたはずだ。

「昨日のうちに運んでおいてもらったんだ。今日は外出の予定もあるから、車がないと不便だし」
「そう」

さすが仕事のできる御曹司は、抜かりがないらしい。
おそらく東京に帰ってきてから購入したのだろうピカピカの新車は、コンパクトだけとスタイリッシュなデザインの外車。
その重厚なエンジン音を響かせる助手席で、私は車窓を眺めていた。
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