再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
自分のデスクに着くと、周囲はいつもとは違う雰囲気に包まれていた。
それは今日が新年度スタートの日だからってことだけではなく、新部長である彼のことでみんなが浮足立っている感じだった。

「新部長ってどんな人ですか？」

端末を立ち上げ朝の準備を終えたところで、石田君が隣の席から身をのぞかせる。
そうか、入社２年目の石田君は彼のことを知らないのか。
他にも、入れ替わりの激しい女子社員の中には彼のことを知らない人も多い。
私にとってはついこの間のことのような気がしていたけれど、いつの間にか時間はたっていたんだな。

「仕事のできる人だよ」

それは間違いない。
どれだけ頑張っても彼には何一つかなわなかった。

「社長の息子って本当ですか？」
「え、ああ・・・」

私はつい言葉を濁してしまった。
確かに、彼は総合商社NAGASIMAの御曹司だ。
一人息子の彼は将来この会社を受け継ぐことになるのかもしれない。
でも、そのことと彼が優秀なのは関係ない。
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