再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「帰るぞ、送って行く」

そう言うと背中を向けフロアを出て行こうとする亮平。

「待って」

私は急いで荷物をまとめると、後を追った。
背が高く足も長い亮平の歩幅が広いのか、それとも何がに怒っていて早足なのか、理由はわからないけれど私が駆け足で追いかけないと置いて行かれる勢いで亮平は進んで行く。

「ちょっと・・・待って」

さすがに苦しくなって、私は足を止めてしまった。

「どうした丸星デパートで働いて疲れたか」
「そうよ、クタクタ。悪い?」

態度の悪さを、寝起きのせいにするつもりはない。
自分で決めてしたことだから、たとえ残業になっても徹夜になっても自業自得だとも思う。
それでも、亮平にはよくやったと認めてもらいたかった。

「誰がそんなことをしろって言った?大体、何で俺に連絡してこない?その上深夜まで1人で残業するなんてどうかしてるぞ」
「それは・・・」

上司である亮平から見れば、私の行動は正しくないのかもしれない。
でも私が丸星デパートで手伝いをして商談のチャンスをもらわなければ、うちの会社が取引停止になっていた。そうなれば、石田くんは会社にいられなくなる。それだけは避けたかった。
だから、私にとってはこれが最善策だと思えたのだ。
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