再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「亮平からすれば間違ったやり方だったのかもしれないけれど、私は悪いことをしたと思っていないわ。どうしても石田くんを助けたかったの」

亮平がいなくなってからの2年間、私は無理な勤務を続けてきた。
深夜まで会社に残ることだって珍しくなかったし、月に何日も仮眠室で寝泊まりした。
そうでもしなければ、不器用な私が人並みに営業成績を上げることなんてできなかった。

「人のことよりも、自分のことをまず考えろよ。どれだけ無理するんだ」

この時、亮平の怒りが私を心配してくれているからのものだとやっと気づいた。

「私は大丈夫よ。元気だけが取り柄だから」

自分を過信するつもりはないけれど、体力には自信がある。
そう思って言ったのに、数メートル先にいた亮平が戻ってきて、私の前で立ち止まった。

「何が大丈夫だよ、疲れきった顔しやがって。俺がどれだけ心配したか考えてもみろ。元気だけが取り柄なんて、今のお前が言ったって笑えない」

亮平の腕が背中に回りその温もりとムスクの香りが私を包み込んだ。
誰もいなくなった深夜のオフィスで亮平に抱きしめられている自分が夢の中にいるようで、私はしばし呆然とした。
そして、この温もりにはなぜか懐かしさを感じた。
まだ社会人として駆け出しだった頃の未熟な二人の、こそばゆいような恥ずかしいような記憶が蘇ってくるからだ。

「頼むよ、無茶はするな」
「うん、ごめん」

心のずっとずっと奥にしまい込んでいた感覚を思い出してしまい、私は心臓がギュッと締め付けられるようだった。
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