再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

美優が抱える過去の傷

「おはようございます」

昨日の日付が変わるギリギリに亮平に送ってもらった私は、いつも通りに出勤した。
すると、すぐに石田くんが駆け寄って来た。

「おはようございます、チーフ。昨日はすみませんでした」
「ほんとに、大変だったんだからね」

色々と言いたい事はあるものの、まずは冗談まじりにポンと肩を叩く。
あのまま丸星デパートとの契約を失っていれば、今こうして笑っていることもできなかった。そう思えば、本当によかった。

「昨日は体調が悪くて、起き上がることもできなかったんです。先方にも連絡を入れたんですが、伝わっていなかったようで・・・本当にすみませんでした」

正直言うと、どこまでが本当なのかと疑う気持ちはある。
でも、石田くんが逃げ出さずに今日こうして仕事に出てきてくれたから、私からはこれ以上言わないでおこう。
それに、私が言わなくたって課長や部長である亮平が黙っているわけがない。私までが一緒になって石田くんを攻めたってしょうがないだろう。

「石田、ちょっと」

ほら早速、課長が石田くんを呼んでいる。

「部長まで話がいった以上このままって事は無いだろうから、叱られる覚悟はしておきなさいね」

経験者だからこそわかる、これは避けては通れない現実。
かわいそうだけれど、石田くんが蒔いた種だ。

「はい、わかっています」

はっきりと口にしてから私に頭を下げると、石田くんは課長の席に向かった。
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