再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「チーフって、新しい部長とは親しいんですよね?」

石田君はキャーキャーと騒いでいる女子たちとは違った意味で彼のことが気になるのだろう。
なにしろ自分の上司になのだから、少しでも情報を得たいと思うのは当然かもしれない。

「そうね、同じ営業に配属された新卒は彼と私だけだったし。それに、3年間も同期として一緒に仕事をしてきたんだから、いい友人よ。言うなれば、戦友のような関係」
「戦友ですか?」

不思議そうな顔をする石田君。
個人主義が強くて、同期だから一緒に飲みに行くとか、困ったときに助けるとかいう意識が薄い石田君世代にはわからないかもしれないけれど、私達はいつも助け合って仕事をしていた。
先輩から与えられた課題を協力しながら解決し、多少自分が遅れても同期を助けて一緒にクリアすることを望んでいた。

「恋人同士だったりは・・・」
「ないない」

私達は純粋にいい友人だった。
当時は仕事を覚えることに必死でそんなに余裕はなかったし、母さんにも見せたことがないような情けなくて恥ずかしい姿をいっぱい見せたんだから、恋愛の対象になるはずがない。

「でも、バディーを組んでたんですよね?」
「2人で同じ取引先を担当していた時期もあるから、バディーと言えばバディーだけど、それは仕事上よ。ほら、仕事始めるわよ」

なんだか意味深に私を見つめようとする石田君をデスクに戻すと、私もメールのチェックを始めた。
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