再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「お呼びでしょうか」
「丸星デパートがお前の顔が見たいと言って聞かない」

困ったなと渋い表情の亮平。

「5年も担当した会社ですから、仕方がないかもしれません。部長がよければ同行しますが?」
「そうだなぁ、週末にでも顔を出そうと思うから、一緒に来てくれるか」
「はい、わかりました」

亮平の事だから、担当者ともうまくやっているはずだ。
ただ単に「吉野さんはどうしてるの?会いたいなぁ」的な話なのだろう。

「ところで、今日って空いてるか?」
「えっと、今日は・・・」

勤務中に部長室に呼ばれるのだから、当然のように要件は仕事の話。
しかし、そのついでに時々食事の誘いを受けるようになった。
1人で食べるよりも誰かと食べた方が楽しいからと亮平は言うけれど、相変わらず手作り弁当の持参は続いているし、本当に一人暮らしかどうかはわからない。
それでも、アパートに帰っても話す相手もいない私には断る理由もなく、週に1、2度のペースで夕食を共にしている。
しかし、今日は先約があるのだ。
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