再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
「それで、話って何なの」

きっとわざわざ私を呼び出すからには、何か話したいことがあるのだろう。そう思ってここへ来た私は、1杯目のグラスを開けたところで石田くんに尋ねた。

「俺、仕事をやめようかと思っていて」
「え、どうして?」

最近の若者は1つの会社に一生を務めようなんて最初から思っていない。
自分に合わなければ方向転換するし、さらに良い条件の会社があれば転職だってする。
そういう意味では驚くような話でもないが、なんだか唐突でびっくりした。

「実は、実家が会社をやっていて、俺が継がないといけないんです。ですから、ゆくゆくは実家に戻るつもり予定でした」
「へー、そうなんだ」

自分には継がなくてはならない会社があると話す石田くんの言葉を聞いて、私はなぜか亮平の顔を思い出していた。
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