再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
石田くんの真意がわからない以上、何をどう答えていいのかさえ思い浮かばず、無言のまま私はグラスを開け続けた。
後で考えれば、グラスが開くたびに絶妙なタイミングで運ばれてくるカクテルを結構飲んだ気がする。
特別お酒が弱いわけでもない私は大丈夫だろうと油断していたけれど、しばらくすると体が火照ってきて目がかすみだした。

「美優さん、顔が赤いですけれど大丈夫ですか?」
「え、ええ」

返事はしたものの、意識の遠く向こうの方で石田くんの声が聞こえた。
この時の私は座っているのがやっとだった。

「とりあえず、店を出ましょう」
「うん、そうね」

体を支えられ、私は立ち上がった。
しかし、既に体の力が入らなくなっていて、石田くんに抱えられながら店の外へ向かうしかなかった。
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