再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり
店の外に出ると、夜風は思いのほか心地よくて、私は少しだけ気分が良くなった。
しかし、足に力が入らず1人で歩ける状態ではない。
困ったぞ、このままでは家に帰れない。

「少し休んで行きますか」
「うん、そうね…」

思考力がほぼなくなった頭でも、さすがにこの状態では帰れないのは理解できた。
とは言え、自分でもなぜすんなり返事したんだろうと不思議でしかないが、相手は後輩の石田くんだからと言い訳をして私はうなずいた。
もちろん、どこか近くの店で少しだけ休憩してその後はタクシーに乗り帰るつもりでいた。
しかし、突如聞こえてきた凄みのある声に、私は現実へと引き戻された。

「おい、何をしているんだ」

それは聞き慣れた亮平の、相当機嫌の悪い時の声だった。
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