再会は、嵐を呼ぶ恋の始まり

SIDE亮平  二人の過去

いつも美優の周囲をチョロチョロと動き回わる石田のことが、ずっと気になっていた。
美優本人は気づいていないようだが、石田は意図的に美優のそばをうろついていたし、その態度はわかりやすくあからさまだった。
だから今日は石田と約束があると言った美優の言葉を聞いて嫌な予感がした。
しかし、止める理由がないためやめろとは言えなかった。

「ったく、変な奴に懐かれやがって」

これは、本性を隠し子犬のようにまとわりつく石田のことを身抜けないでいる美優に対する愚痴。
本当に人が良いというか、騙されやすいというか、自分を犠牲にしてまで石田の面倒を見る必要はないのに。
そう思うとまた腹が立って、不安で仕方がなくなった俺は美優から聞いていたイタリアンの店に向かってみることにした。
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