星月夜、月を魅せて

星雲

チリッチ.チリッチ.チリッチ.

うるさい。本当にうるさい。

カーテンから零れる木漏れ日と
頭がキーンっとするようなアラーム音

でも、これがなければ俺は起きられた試しがない。

「はぁ、せっかく気持ちよく眠ってたのによお」
大きな二酸化炭素を吐きながら、ふらっと起き上がる。

頬をつたい、顎から雫が落ちた。
「まただ、何回目だよ、。」
濡れたシーツを外そうとしたが、眠過ぎてそんな気力もなかった。

朝食は食べずに制服に着替え、ドライヤーで髪を整え、近所のスーパーにポツンと置いてあった安っぽいワックスをささっと塗りたくった。

歯を磨くのが面倒だったのでガムを噛見ながら登校する。

いつもならここに友人の湊(みなと)が迎えに来るが
俺が起きる時刻が遅すぎたため、今日は迎えに来なかった。

海の見える綺麗な景色とは似合わないようなボカロを爆音にしてイヤホンで聴く。

綺麗なものは好きだが、毎日同じ景色を見ていたらどんなに綺麗なものでも飽きる。
そんなのは当たり前のことだ。

チリンチリン
鈴のような音が鳴った気がした。

振り向く前に俺の横を風のように横切る。

「あ、あいつ。」名前なんだっけ。

なんて考えているのと同時に、「危ねぇだろ、大体自転車鳴らさずちょっとすみませんとか言えないわけ?」
とイラだって来たのでもっと激しめのボカロで
気を紛らわす。

色々と考え事をしていると、学校に着いてしまった。

学校に行ってすぐ、男女に「おはよ!」と声をかけられる。

俺はいつものように声を上げて「おっはー!」と
返す。笑

さすが俺、切り替えが素晴らしい。

席についてまず話しかけて来たのは担任だ。

「おい、黒川お前受験生だろ?
遅刻は内申に響くんだ。もっと早く来い。」

「はーい!すみません!」

ガチでだるい。
朝から説教されるとこだった。

クスクスと海星(かいせい)がこちらに向かってくる。

「怒られてたじゃん笑
ほんと、誰かさんが寝坊したせいで
ずっと暇だったんだわ。笑」

嫌味を言っているつもりだろうが、すごくニヤニヤニコニコとしている笑

俺は海星が好きだ。友達として。

初めて会った時の第一印象は、名前に「星」とつくのが俺と一緒じゃんってなったのと、「海」と「星」欲張りすぎだろっと思った。笑

海星はまじ優しい。ノリいいし話を聞くのが上手い。
俺が女だったら惚れてる。なのに、こいつはモテない。
俺のクラスの女子まじ見る目ねぇな。って
本気で思うぐらいだ。
彼女は作る気はない。彼女が出来なくても
俺には海星がいるだけで充分ってほどに。


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