BG様の一途な愛情
* * * *

 身体も心もこんなに満たされた状態で目を覚ましたのは、もしかしたら人生で初めてのことかもしれない。

 紘太は背後から麻里亜を抱きしめ、指先は胸の頂をつまんだり撫でたりするので、麻里亜の重たい下半身がまた疼き始める。首筋や背中には彼の唇と舌の感触が気持ちが良くて、ふわふわとした気持ちになった。

「んっ……くすぐったい……」
「気持ち良いじゃなくて?」
「もちろん気持ちいいけど……でもそれより恥ずかしいかも……!」
「恥ずかしい? 昨日はあんなにイチャイチャしたのに?」
「だって初めてなんだもん……私、変じゃなかった?」
「変どころか、可愛い過ぎて身がもたない」
「またそんなこと言って……。あっ、もうこんな時間! そろそろ起きないと。今日は部屋を探しにいく予定だし」

 すると紘太は麻里亜の体を解放し、自分の方に向かせて引き寄せた。筋肉質な彼の胸の厚みを感じ、守られているような安心感を覚える。

「やっぱり引っ越すの?」
「だって誰かが入った部屋だなんて気持ち悪いじゃない……自分が知らない間に部屋に入って、しかも生活音まで聞かれてて……」
「それなんだけどさ、麻里亜ちゃんは犯人に心当たりはない? 麻里亜ちゃんのことを知りたがっている人物……例えば元彼とか」
「別れてから二年も経ってるし、それに新しい彼女が出来たってSNSで呟いてたから、それはないと思う」
「じゃあ病院関係は? 医師、看護師、患者、関係者」
「そんなふうに言われたことはないかなぁ」
「でも人がどう思っているかなんてわからないよ。俺が麻里亜ちゃんを好きだってことも、気づいてなかったよね?」

 麻里亜の鼻をツンツン人差し指で突きながら、紘太はニヤニヤと笑う。

「そ、それは……わかりにくかっただけじゃない? 紘太くん、はぐらかすの上手なんだもん」
「あはは、確かにそれは否めないなぁ。ただそのことでちょっと気になってることはあるんだ」
「気になってること?」
「そう。今回の件が始まったのは、飲み会の翌日からって言ってたよね。ということは、そこで何かがあった可能性がある。何か気になったことはなかった?」

 そう言われて、あの日のことを思い返してみる。

「参加したのは六人。看護師四人と医師が二人」
「それは誰? とりあえず名前と性別、それとちょっとした特徴を教えて」
「いいけど……居酒屋には他にお客もいたし、そっちの人かもしれないよ」
「とりあえず身近なところから潰していこう」

 紘太に突然キスをされ、麻里亜は頬を真っ赤にして頷いた。
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