BG様の一途な愛情
「やぁ麻里亜ちゃん! お父さんは元気にしているかな?」
「はい、元気です」
「最近はなかなか集まれなくてね、近いうちにまたホールを回りたいんだけど」
そう言ってゴルフクラブを振る真似をする。麻里亜の父を含むメンバーで、ゴルフコースをよく回っているそうだ。
「今度会った時に伝えておきます。でもお二人がいらしたということは、やはり先ほどの患者さんって……」
龍彦の長男で、安東警備株式会社の社長でもある安東葉介が、病室から聞こえてくる声を聞きながら、困ったような笑顔を浮かべた。
「そうなんだ。仕事中に負傷しちゃってね。まぁ大した傷ではないんだろうけど、今夜はきっと入院しなきゃいけないしね。もしかして麻里亜ちゃんが担当看護師さんだったりする?」
「夜の間だけですが……」
「それは安心だな。あいつが迷惑をかけるかもしれないけど、その時は一発お見舞いしちゃっていいからね」
「そんなことしませんよ。でもお二人の名前は使わせていただくかもしれませんけど」
「いいよ、どんどん使っちゃって!」
安東紘太は葉介の弟で、兄の会社に勤めていた。安東家は警察一家で、全員元警察官だったが、葉介が会社を設立するにあたり全員が退職をしたと聞いた。
そして紘太は警察官としてのノウハウを活かし、身辺警護部門ーーつまりボディガードをしていると言っていた。ということは、今回の怪我も警護の際に出来たものなのかもしれない。
麻里亜は彼らの家のホームパーティに招かれることが時折あったため、小さい頃から彼らと親交があった。麻里亜より一回り年上の葉介は気遣いの出来る男性で、皆が楽しく過ごせるような提案をし、七歳上の紘太がその場を盛り上げる。そんな二人が頼もしくて、歳の離れた麻里亜はいつもパーティに行くのが楽しみだった。
特に彼らの広い家をいっぱいに使っての探検ごっこは、今でも麻里亜の心から消えることはなく残っている。
大人になってからはほとんど会う機会もなくなり、父親から安東家の近況を聞くにとどまった。だから今回こうして会うのは久しぶりだったのだ。
「あっ、では紘太さんの部屋に案内しますね。こちらです」
「ありがとう。麻里亜ちゃんもすっかりベテラン看護師さんだね」
「あんなに小さくて可愛かったのに、もうしっかり大人になって……おじさんは嬉しいよ!」
困ったように笑いながら、508号室に向かって歩き出した。
「はい、元気です」
「最近はなかなか集まれなくてね、近いうちにまたホールを回りたいんだけど」
そう言ってゴルフクラブを振る真似をする。麻里亜の父を含むメンバーで、ゴルフコースをよく回っているそうだ。
「今度会った時に伝えておきます。でもお二人がいらしたということは、やはり先ほどの患者さんって……」
龍彦の長男で、安東警備株式会社の社長でもある安東葉介が、病室から聞こえてくる声を聞きながら、困ったような笑顔を浮かべた。
「そうなんだ。仕事中に負傷しちゃってね。まぁ大した傷ではないんだろうけど、今夜はきっと入院しなきゃいけないしね。もしかして麻里亜ちゃんが担当看護師さんだったりする?」
「夜の間だけですが……」
「それは安心だな。あいつが迷惑をかけるかもしれないけど、その時は一発お見舞いしちゃっていいからね」
「そんなことしませんよ。でもお二人の名前は使わせていただくかもしれませんけど」
「いいよ、どんどん使っちゃって!」
安東紘太は葉介の弟で、兄の会社に勤めていた。安東家は警察一家で、全員元警察官だったが、葉介が会社を設立するにあたり全員が退職をしたと聞いた。
そして紘太は警察官としてのノウハウを活かし、身辺警護部門ーーつまりボディガードをしていると言っていた。ということは、今回の怪我も警護の際に出来たものなのかもしれない。
麻里亜は彼らの家のホームパーティに招かれることが時折あったため、小さい頃から彼らと親交があった。麻里亜より一回り年上の葉介は気遣いの出来る男性で、皆が楽しく過ごせるような提案をし、七歳上の紘太がその場を盛り上げる。そんな二人が頼もしくて、歳の離れた麻里亜はいつもパーティに行くのが楽しみだった。
特に彼らの広い家をいっぱいに使っての探検ごっこは、今でも麻里亜の心から消えることはなく残っている。
大人になってからはほとんど会う機会もなくなり、父親から安東家の近況を聞くにとどまった。だから今回こうして会うのは久しぶりだったのだ。
「あっ、では紘太さんの部屋に案内しますね。こちらです」
「ありがとう。麻里亜ちゃんもすっかりベテラン看護師さんだね」
「あんなに小さくて可愛かったのに、もうしっかり大人になって……おじさんは嬉しいよ!」
困ったように笑いながら、508号室に向かって歩き出した。