BG様の一途な愛情
* * * *
朝の巡回のために各病室を周り、最後に紘太の元へ辿り着くと、彼は横になって真剣な表情で無音のテレビを見つめていた。
仕事中の彼もきっとこんな感じなんだろうなーー楽しい一面しか知らなかっただけに、命をかけて働く姿を想像して、いつも明るく周囲を和ませていた時とのギャップに胸がドキッと鳴った。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「麻里亜ちゃん、おはよう。まぁそれなりに寝たかな」
「少しでも眠れたのなら良かったです。じゃあ検温をお願いしていいですか?」
麻里亜が体温計を渡すと、紘太は笑顔で受け取り、すぐに脇に挟んだ。
ナーシングカートに置かれたパソコンに彼の様子を打ち込んでから、音が鳴った体温計を受け取り、それから彼の血圧を測り始める。
「傷の痛みはどうですか?」
「あはは、それはまだ痛むよ」
「傷はもうくっついてると思うので、あともう少しの辛抱ですね。じゃあこの後日勤の看護師に代わるのでーー」
そう言って病室から出ようとした時、突然紘太に手を掴まれる。驚いた麻里亜は慌てて手を引っ込めようとしたが、思いのほか彼の力が強かった。
「夜にはまた出勤する?」
「……一応」
「それなら安心した。やっぱり知っている人がいると心強いもんね」
彼はにっこり微笑むと、麻里亜の手を解放した。
「そ、そうですね! ではまた夜に……」
熱くてジンジンする手を引っ込め、赤くなった頬を隠すように俯き、とてつもないスピードで病室から飛び出した。
あんな不意打ち、どうすることも出来ないじゃないーー彼は昔から麻里亜をからかうのが上手かった。麻里亜が紘太に憧れの視線を送っていることにきっと気付いていて、必要以上に距離を詰めては不敵な笑みを浮かべるのだ。
また同じように遊ばれてしまった。何年経っても変わらない感情に、自分自身が一番呆れてしまう。
朝の巡回のために各病室を周り、最後に紘太の元へ辿り着くと、彼は横になって真剣な表情で無音のテレビを見つめていた。
仕事中の彼もきっとこんな感じなんだろうなーー楽しい一面しか知らなかっただけに、命をかけて働く姿を想像して、いつも明るく周囲を和ませていた時とのギャップに胸がドキッと鳴った。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「麻里亜ちゃん、おはよう。まぁそれなりに寝たかな」
「少しでも眠れたのなら良かったです。じゃあ検温をお願いしていいですか?」
麻里亜が体温計を渡すと、紘太は笑顔で受け取り、すぐに脇に挟んだ。
ナーシングカートに置かれたパソコンに彼の様子を打ち込んでから、音が鳴った体温計を受け取り、それから彼の血圧を測り始める。
「傷の痛みはどうですか?」
「あはは、それはまだ痛むよ」
「傷はもうくっついてると思うので、あともう少しの辛抱ですね。じゃあこの後日勤の看護師に代わるのでーー」
そう言って病室から出ようとした時、突然紘太に手を掴まれる。驚いた麻里亜は慌てて手を引っ込めようとしたが、思いのほか彼の力が強かった。
「夜にはまた出勤する?」
「……一応」
「それなら安心した。やっぱり知っている人がいると心強いもんね」
彼はにっこり微笑むと、麻里亜の手を解放した。
「そ、そうですね! ではまた夜に……」
熱くてジンジンする手を引っ込め、赤くなった頬を隠すように俯き、とてつもないスピードで病室から飛び出した。
あんな不意打ち、どうすることも出来ないじゃないーー彼は昔から麻里亜をからかうのが上手かった。麻里亜が紘太に憧れの視線を送っていることにきっと気付いていて、必要以上に距離を詰めては不敵な笑みを浮かべるのだ。
また同じように遊ばれてしまった。何年経っても変わらない感情に、自分自身が一番呆れてしまう。