仮面を被った私たち




私は夢を見た



お母さんがいて………お父さんも笑っていて




この世界のみんなは幸せそうで



私がお母さんを奪わなければ………



今頃こんな世界だったのかな






ずっとこの世界にいたい


そう思わずにはいられなかった







「っ……」

あぁ……………夢から覚めちゃった………



辺りを見まわすと、ここが保健室だということが分かる


アイツに………一番見られたくないこと見られたな………



そして制服のポケットに手を伸ばして…………お守りがないことに気づいた



っ!

どこで落としたんだろ………

探さないと………


ベッドから降りカーテンを開けると、今一番会いたくない奴がいた

「やっと起きたか」

「………………………」

「……悪かったな
 もう雨止んだから」

嘘………コイツが私に謝った………
ありえない………

「気分はどうだ?
 あれだったら送っていってやる」

「………アンタどこかで頭打った?
 優しすぎてキモいんだけど」

「はぁ?
 せっかく心配してやったのに
 その口の悪さからしていつも通りだな
 元気ならさっさと帰れ」

「………お守り知らない?」

「そんなの知るか」

「だよね………まぁ、とりあえず迷惑かけてごめん
 もう帰る」

そう言って保健室を出た


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