仮面を被った私たち

「それが知ってるんだよ
 昔、お前と会ったことあるから」

「はぁ?
 いつ、どこで、何のためにアンタと会ってるのよ」

「……二つ目、お前は小さい頃の記憶ないのか?」

「私の質問に答えて」

「俺が答える理由がない
 返して欲しければさっさと答えろ」

「………ない
 もちろんアンタと会った記憶なんてなおさらないわよ」

「三つ目、お前は今幸せか?
 そんな取り繕って」

「さぁね
 でも楽であるのは確かだから
 だからアンタも取り繕ってるんでしょ」

「俺が取り繕っているのは別の理由だ
 家族の前では取り繕ってないだろ?
 その方が楽とは思わないのか?」

「………………別に」

「お前さ、自分の意思ってないわけ?
 そんな周りの機嫌ばっか伺って辛くないのかよ」

「……別に
 もう慣れたわよ」


「はぁ…………じゃあ最後
 こうまでしてこのお守りは返して欲しい物なのか?」

「…………返して
 ちゃんとアンタの質問に答えたじゃない」

「そんなに大切か?」

「大切なの
 じゃなきゃアンタとは話してない」

「…………母親の形見?」

「違うけどそれくらい大切なの
 もういいでしょ
 早く返して」

「………約束しろ
 お前が困った時は必ず俺が助ける
 だから俺を頼れ
 いいな?」

「なんでアンタなんかを頼らないといけないのよ」

「約束しないなら返さない」

「はぁ…………分かったわよ
 困ったらね」

「あぁ
 んじゃ、俺の連絡先も渡しとくから
 何かあれば連絡しろ」


そしてお守りも返してくれた



あぁ……やっと見つけた

良かった…………

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