仮面を被った私たち








家に帰るなり、勉強をした


できる間にしておかないと………






数時間後



ガチャ


っ…!
早く行かなきゃ


「お父さん、お帰りなさい」

「遅ぇぞ!!」

「ごめんなさい………きゃっ!」

「いちいちうるさいんだよ!
 早く来い!!」


そして力強く手首を掴まれた

痛い………でもそんなこと言えない…………



連れて行かれたのは寝室


「雅美………愛してるよ……
 お前は俺のモノだ………」


そして押し倒された



あぁ………またか


お父さんは私とお母さんを重ねている

お母さんは私が5歳の時に亡くなった

道路に飛び出した私を庇って


お父さんも最初は優しかったけど…………今では変わった

いや………私のせいで変わってしまった

お母さんを奪った私が憎いんだよね


お父さんが優しい時は………私とお母さんを重ねている時だけ

私を私だと認識している時は………殴られるか蹴られるか

機嫌が良ければ無視されるくらいだけど………

身体中のあざが消えることはない


「なぁ…雅美……気持ちいいか…?
 凄い気持ちいいよ………」


気持ちいい訳ない

でもこれは私が我慢するしかない

私がお母さんを奪った罰なのだから…………


お父さんは私を雅美と呼んで抱く

だから私は雅としてではなく、お母さん………雅美としてこれに向き合うしかない


雅の意思はこれに関わることが許されない














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