仮面を被った私たち

「………産むつもりだったのか？」

「…………分からない
　でも………赤ちゃんは何も悪くないのに、死なせた
　私が守ってあげないといけなかったのに…………」

「……そっか
　でも、もう自分を責めるな
　雅の責任じゃない」

「…………………」

「と言っても、すぐには難しいよな
　雅真面目だから
　だからさ、話したい時はいつでも話せよ
　いくらでも話聞くから
　これからずっと一緒にいるから
　もう雅を一人にしない」

「…………あっそ」

「そんで、俺と結婚しろ」

「無理」

「即答過ぎるだろ
　まぁ、いくらでも待ってやるから」

「待たないで
　早く結婚しろ」

「俺は雅以外受け付けませんー！」

「アンタ一条グループの息子なんでしょ？
　私みたいな傷物じゃなくて、どこかの綺麗で可愛い純粋な女の子と結婚したら？」

「家でも完璧人間を演じろって？
　そんな面倒くさいことしたくねぇよ
　それに………傷物とか関係ない
　雅は雅だし、身体目的で結婚しようとしてるわけではない」

「………もういいや
　アンタに何を言っても無駄な気がする」

「ついに諦めたか」

「……………いつ退院出来るの？」