ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
わたしは目撃情報を頼りに街を歩き回り、見かけた人がいないか聞いて回った。
しかし、なかなか涼くんは見つからず、気がつけば、辺りが危ない街の片鱗を見せはじめていた。
今日はタイムオーバーかな。また明日、来よう。
「ざまあみろってんだ、涼花のやつ」
「すっきりした。抵抗してこなかったのはもの足りないけど」
帰ろうとしたわたしの足をその会話が止めた。
「あの! 今、涼花って」
思わず声をかけていた。
ふたり組の男で、ひとりは柔道部にいそうな体格のいい男。
もうひとりは、細く長いゴボウのような男だった。
「あ? 涼花? それなら今、ちょうどボコったとこだけど」
「どこにいますか?」
「あんな弱っちいやつよりオレらと遊ぼーぜ」
しまった。ナンパに切り替わっちゃった。
しかも、わたしのほうから声をかけたから、相手はかなり手応えを感じているようす。
「ご、ごめんなさい。わたし、涼く……涼花に浮気されて、一発殴ってやらないと気が済まないんです」