ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

とっさに思いついた嘘。
ドラマが教科書だけど、今の状況だと有効ではないだろうか。


「うわ、あいつこんな子どもにまで手出してんの?」


子どもって……。傷つくなぁ……。


「そういうことなら、今がチャンスだよ。その先の道でくたばってるから」

「教えてくれてありがとうございます」


よしと心の中でガッツポーズをしつつ、頭を下げてお礼を言い、この場を離れた。




裏路地をまっすぐ進み、突き当たりを右に折れたところで地面にへたり込む人を見つけた。

うわ、ひどい。ボロボロだ。


「涼くん!」

「……?」


全身、傷だらけ血だらけの涼くんはわたしを見るなり、虚ろだった目を大きく開いた。


「なんでおまえ……」

「大変。早く手当てしないと」

「さわんな」


涼くんに触れようとしたら、手をはたかれてしまった。

……変わらないな、その目。

< 11 / 100 >

この作品をシェア

pagetop