ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
とっさに思いついた嘘。
ドラマが教科書だけど、今の状況だと有効ではないだろうか。
「うわ、あいつこんな子どもにまで手出してんの?」
子どもって……。傷つくなぁ……。
「そういうことなら、今がチャンスだよ。その先の道でくたばってるから」
「教えてくれてありがとうございます」
よしと心の中でガッツポーズをしつつ、頭を下げてお礼を言い、この場を離れた。
裏路地をまっすぐ進み、突き当たりを右に折れたところで地面にへたり込む人を見つけた。
うわ、ひどい。ボロボロだ。
「涼くん!」
「……?」
全身、傷だらけ血だらけの涼くんはわたしを見るなり、虚ろだった目を大きく開いた。
「なんでおまえ……」
「大変。早く手当てしないと」
「さわんな」
涼くんに触れようとしたら、手をはたかれてしまった。
……変わらないな、その目。