ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
事前に「驚かないで」とかのフォローがほしかった。
こういう番組に出たい、とか匂わせしておいてほしかった。
情報解禁と同時にでも連絡してほしかった。
「それに、あくまで仕事だから。知名度を上げるために出るんだ。おれはもうそうやって割りきったから、もし観るつもりなら、絢音もそう割りきって」
「う、うん……」
「じゃあ、おれはもう行かないとだから」
「引き止めてごめんね」
どういう顔をすればいいのかわからないまま恭くんに背を向けてリビングを出ると、廊下に涼くんが立っていた。
「涼花! こんなところでどうしたの?」
「べつに。絢音が飛び出していったから何事かと思っただけ」
「そうなんだ。涼花は今日、なにも予定ないの? それなら絢音をお願いしてもいい?」
「言われなくてもわかってる」
恭くんを見送ったわたしたちは、うちに戻った。