ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

「キスとかはないんだけどさ、手をつないだりハグしたりっていうイチャイチャはふつうにあって。カップルになったら番組が終わったあともイベントに出たりして、しばらくはそういう関係が続く」



恭くんは仕事だと割りきったと言っていたけれど、割りきったうえで彼女を作ろうとしているんだ。

きっと、どんなことでもする。


好きにならなければいけないなら、きっと本気で好きになる……。


「泣いてんの?」

「なに言ってんの。泣いてないよ」

「なら、その涙はなに?」

「えっ?」


涼くんに言われて頬に触れると、濡れていた。

自分の意思に反して涙を流していたらしく、わたしはそれに気づきもしなかった。


「なあ」


涼くんはわたしの前まで歩み寄り、悲しそうな顔して見つめてきた。


「まえに、恭花のことは好きじゃないって言ってたよな」

「うん」

「もう一度訊くけど、恭花が好きなんじゃないの?」

「……好きじゃない」

「じゃあ、だれのために泣いてるんだよ。だれのための涙だよ」

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