ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
わたしは、涼くんのなにもかも見透かすような目から顔を背けたくて、うつむいた。
恭くんは隣に住む幼なじみで、優しくてかっこよくて、絵本のなかにしかいないと思っていた本物の王子さま。
そんな恭くんを、わたしは慕っていた。
夢を追いかける姿がまぶしくて、夢を追いつづける恭くんをそばでずっと見守っていたくて。
恭くんが望みを叶えられるなら、わたしはなんでもする。
ふたりで観たドラマにキスシーンがあって。
「いつか恭くんもするのかな」
とひとり言としてつぶやいたとき、
「必要ならするけど、そのときは相手を絢音だと思ってするよ」
そう言われて内心は複雑だったけど、うれしかった。
いつかくる恭くんのキスシーンのために、恋愛ドラマや恋愛映画をたくさん観て耐性をつけた。
“わたしは恭くんを応援する”
その言葉ばかり言っていたから、それが自分の本心だと勘違いしてた。
恭くんのことは好きだけど、それは人として尊敬できるから好きなだけ。恋愛的な意味はない。
──はずだったのに。