ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む
知らないと言っても、まったく見覚えがないわけではなくて。
わたしが涼くんの家を追い出されたときに、入れ替わるようにしてやってきた女の子だから見たことはある。
たまり場にもいたし。
けれど、ほとんど知らないも同然だ。
涼くんがそんな彼女を睨みつける。
「おまえ、こんなところでなにやってんだよ」
「なにって、こいつがあたしからすーかを奪ったから取り返そうと」
「俺はおまえのものでもねぇし、おまえらんとこにはもう行かないって連絡しただろ」
「知らないよ。すーかはこいつに毒されて──」
「真珠」
涼くんの低く鋭い声が、真珠と呼ばれた彼女の言葉を遮った。
「俺はおまえを捨てたんだよ」
ふしぎなことに、なにを言っても動じなさそうだった真珠さんは、涼くんのたったひと言で口を閉ざし、魂が抜けたみたいに顔面を青白くした。
行こうと言って涼くんに肩を抱かれ、わたしたちはこの場から立ち去った。