ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

「ごめん、また巻きこんで。痛いところない？」


映画館を出たところで足を止めた涼くんが、心配そうに顔をのぞきこんできた。


「髪を引っ張られて痛かったけど、今はもう大丈夫」

「ほんとごめん。今度、ちゃんとあいつらのところに行って話してくるわ」


またそういう顔。
思いつめたような、合わせる顔がないような、悲しい表情。


たしかに涼くんと再会してからドラマのような事件に巻きこまれてばかりだけど、わたし、涼くんにそういう顔をしてほしいわけじゃない。


「そのときはわたしにも声をかけてね」

「いやそれは……」

「わたしが見張ってないと涼くん、また不良街道一直線だもん。それにさ──」


一旦、言葉を切り、涼くんの手を引っ張るようにして歩きだす。


手を離してから話の続きを紡ぐ。


「さっき怖かったけど、わたし、巻きこまれたなんて思ってないよ。真珠さん……で合ってる？」

「うん」

「真珠さんから涼くんを奪っちゃったのは事実だし、完全部外者ってわけじゃない。涼くんの問題はわたしの問題でもある。一緒に解決しよ」