ふぞろいなふたごは幼なじみを嗜む

好きでもない女にキスはできるんだという疑問は残るけど。


もともとそのつもりがなかったのなら、わたしに危機感を持たせるためにした捨て身の行為だったと納得できる。


ふいに、涼くんが歩くスピードをゆるめた。


「どうしたの?」

「いや……」


と、口ごもる涼くん。


言いにくそうにわたしから顔をそむけたかと思えば、その顔をわずかに赤面させた。


「あのときはマジでするつもりだった」

「えっ……。言ってることと違うじゃん」

「違ってないから。そのまんまの意味だよ」

「そのまんまってどういう…………えっ?」


いやいやいや、そんなまさか。


と思う一方で、こっちに視線を戻した涼くんの赤く染まった顔を見たら、そのまさかなんだと頭が理解してしまう。


「いつから……?」

「ガキの頃から」

「でも涼くん、わたしが恭くんを好きって……」

「知ってて好きだったんだよ」


面と向かって好きと言われ、なんて返せばいいかわからなくなった。

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